特別本醸造酒や特別純米酒の“特別”とは

close up of beer glass against black background

日本酒の分類と“特別”の意味

8つの特定名称を名乗るためにはそれぞれ要件があります。これらに該当しないものは普通酒と呼ばれます。

日本酒の特定名称酒8つの分類

特定名称使用原料精米歩合麹米使用割合香味等の要件
本醸造酒米、米麹、 醸造アルコール70%以下15%以上香味、色沢が良好
特別本醸造酒米、米麹、 醸造アルコール60%以下又は特別な製造方法(要説明表示)15%以上香味、色沢が特に良好
純米酒米、米麹15%以上香味、色沢が良好
特別純米酒米、米麹60%以下又は特別な製造方法(要説明表示)15%以上香味、色沢が特に良好
吟醸酒米、米麹、 醸造アルコール60%以下15%以上吟醸造り、固有の香味、色沢が良好
純米吟醸酒米、米麹60%以下15%以上吟醸造り、固有の香味、色沢が良好
大吟醸酒米、米麹、 醸造アルコール50%以下15%以上吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好
純米大吟醸酒米、米麹50%以下15%以上吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好

“特別”とは

本醸造酒と特別本醸造酒の主な違いは精米歩合に10%の差がある事です。少しの差と思うかもしれませんが、精米歩合70%に要する時間は約12時間、精米歩合60%に要する時間は約24時間です。12時間も多く時間をかけるという事は作り手に何らかの思惑がある事は明らかです。また精米歩合60%であれば高級な吟醸酒を名乗る事も可能です(実際は精米以降の手間が異なりますが)。吟醸酒はフルーティな香りが評価される一方で、食中酒として適さない場合もあります。そのような理由から、あえて吟醸酒にはせず、特別本醸造酒として製造するという事が考えれらます。純米酒と特別純米酒も同様です。精米に時間をかけて高級な純米吟醸酒を名乗らない、それは香り以外の品質を高めるためです。

“特別な製造方法”とは

精米歩合の要件に「60%以下又は特別な製造方法(要説明表示)」とありますが具体的には何でしょうか?例えば、大吟醸並の手間暇をかけている、伝統的な設備や技術を用いている等、場合によっては精米歩合を60%にするよりコストがかかります。とはいえ“特別な製造方法”に規定はなく、酒蔵によります。どのような違いがあるのか比べるのも楽しみの1つです。